予防接種の基礎知識
2017年04月20日更新 2017年03月31日公開

妊婦はインフルエンザの予防接種を受けても大丈夫?

妊娠中のインフルエンザの予防接種について、積極的に勧められることがありますが、妊婦のインフルエンザの予防接種に関してはメリットとデメリットがあります。妊娠中の予防接種について、ドクター監修の記事でお届けします。

妊娠中にはかかりたくないインフルエンザですが、予防のために妊娠中でも予防接種を受けてよいのでしょうか?ここでは、妊娠中の予防接種について見てみましょう。

妊娠中にインフルエンザの予防接種を受けていいの?

妊娠中にインフルエンザの予防接種を受けることは可能です。妊娠すると、妊娠前と比べて使用できる薬が少なくなります。妊娠前なら、抗ウイルス薬や解熱剤、鎮痛剤、鎮咳剤、非ステロイド系の抗炎症剤などの薬が、インフルエンザにかかったときに使えますが、妊娠、または妊娠している可能性があるときには、それらの薬は使用してはいけません。そのため、もし、妊娠中にインフルエンザにかかってしまった場合、高い熱や、咳、鼻水、関節痛などの症状があらわれても、実際に使える薬はかなり限られてしまいます。

妊婦がインフルエンザ予防接種を受けるメリット

アメリカ産婦人科学会(American College of Obstetricians and Gynecologist,ACOG)によると、妊娠中のインフルエンザ感染は、妊娠していないときのインフルエンザ感染と比べて、症状が重くなることが多く、場合によっては入院するケースもあり、実際に、1918年と1919年、1957年と1958年、そして、2009年にインフルエンザが大流行し、妊娠中の女性の致死率が高かったことが確認されています。また、妊娠末期のインフルエンザワクチンの接種は、母体を通じて生まれてくる赤ちゃんにインフルエンザウイルスの免疫を分けてあげられる(受動免疫)ので、生後6か月以降しかインフルエンザのワクチンを接種できない赤ちゃんの、感染予防としてもおすすめされています。

ほかにも、妊娠中にインフルエンザにかかり発熱した場合、流産や早産が起こりやすくなることもあります。流産や早産が起こりやすくなるだけでなく、糖尿病や心疾患、呼吸器系の喘息などの疾患をもともと持病として持っている場合は、特にインフルエンザが重症化しやすくなります。

インフルエンザワクチンは、不活化ワクチンと呼ばれる、ウイルスの感染を防ぐために必要な部分のみで作られた、病原性をなくしているワクチンなので、妊娠中の女性が接種したそのワクチンが、お腹のなかの赤ちゃんに影響を与えることはないと考えられていますが、日本では、そのあたりの調査結果が、まだ十分なほど集まっていません。そのため、日本では、「予防接種をすることにより得られるメリットが、インフルエンザに感染したときの危険性(デメリット)を超えると判断したときに接種する」とされています。

妊婦がインフルエンザに感染した場合

もし、妊娠中にインフルエンザに感染してしまったら、その感染に気づいた時点でできるだけ早く、治療を始めることが非常に大切です。妊娠中は、妊娠前よりインフルエンザが重症化しやすく、重要化したときのリスクもとても高いので、状況次第では、インフルエンザかどうかの検査結果がでる前からでも、治療を始めましょう。インフルエンザが発症してしまっても、発症から48時間以内に薬の服用を開始すると重症化するのをふせぐ効果を期待できます。また、この薬は胎内の赤ちゃんには影響を与えないと考えられているので、どの週数でも使うことができます。

インフルエンザに感染したかどうかが定かでなくても、家族がインフルエンザに感染してしまったり、職場などの閉ざされた空間で、インフルエンザに感染した人と一緒に過ごしたりしなくてはならない場合などには、予防的に先に薬を服用することも考えましょう。

家族も予防接種をうけることが大切

妊娠中の女性だけが、インフルエンザにかからないよう予防接種をしても、一緒にいる家族が家庭にインフルエンザを持ち込んでしまっては意味がありません。妊娠中のインフルエンザの予防接種にさまざまなメリットがあるとはいえ、妊娠中は体質も変化するため、場合によってはインフルエンザのワクチンによるアレルギーなどの副作用がでてしまいやすくなっている可能性も考えられます。特に、もともとアレルギー体質の場合などは、予防接種に対して慎重に考えた方がよいでしょう。また、これは、妊娠中でなくても当てはまることですが、インフルエンザのワクチンの安全性は非常に高いとはいえ、副作用などについて完全に明らかになっているわけではありません。特に、14週未満の妊娠初期は、さまざまな原因で流産が起こりやすく薬などの影響も胎児にでやすい時期ですので、慎重な判断が必要です。

まずは、妊娠中の女性以外の家族に予防接種を受けてもらい、さらに、帰宅時のうがいと手洗いを家族みんなで徹底し、外出時にもマスクをつける、人の多いところにはなるべく行かないようにするなどの対策をたてて、家族で協力しあってインフルエンザへの感染を防ぐよう努力することが大切です。その上で、妊娠中の女性も予防接種を受けるかどうかを、専門医と相談しながら慎重に判断するようにしましょう。

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